《特別寄稿J》

「破壊的カルト宗教のマインド・コントロールにより精神を破壊
される若者を守れ」

  まず、マインド・コントロールの定義や種類については、「あやつられる心 破壊的カルトのマインド・コントロール
(トーマス・W・カイザー&ジャクリーヌ・L・カイザー著)」七十一頁以下に新しい見解が紹介されている。簡単に言え
ば、情報操作により、世界観の幻覚を信じ込ませることにより、信者の時間や体力や資産を組織に自発的に捧げさ
せることを狙っていると言える。

  しかし、一旦このマインド・コントロールが解けた時、とくに若者達は、精神に重大な障害が残る事が指摘されてい
る。思春期の若者は、心理学によると少年期の自我から脱皮し、自分が何者であるかを求めて不安定な精神状況に
ある。自我の確立すべき時期にマインド・コントロールを受けると精神的成長は停止し、判断能力は欠け、自立した大
人というより依存した奴隷となる。


兼近修身著「洗脳の科学」P、213〜215から引用

 @文の組織や他の様々なカルト教団が徹底した精神的抹殺行為に携わっていることは、ハーバード大学医部精神
医学臨床助教授でありマサチューセッツ総合病院顧問でもあるジョン・G・クラーク・ジュニア博士の言葉によって暴
かれている。
 「(カルト教団によって犠牲者に)引き起こされる変化は、悲劇的な物である。精神機能や肉体機能を阻害し喰い物
にするような形の変化が様々に起こる。犠牲者は成長力や自立力を失っていく。時には病的な思考パターンは発現
することさえある。ひどい悪夢と抑うつに悩まされるのである。」

 Aボストン大学医学部地域医療学臨床助教授イーライ・シャピロ博士は、宗教カルトに加わった若者達がインフル
エンザとか脚部骨折tpかと同じように、ひとつの診断名をつけうるある病気にかかる、と主張している。
 「“破壊的カルティズム”というこの病気は、肉体・情緒両面でその犠牲者に悪影響を及ぼすものだ。個人のパーソ
ナリティーに、正常さとはほど遠い変化が見れれる。パーソナリティの同一性が失われ、家族・友人か完全に遠ざか
ってしまうのだ。
一般に情緒障害という診断を下す場合、この家族・友人からの疎外という点が非常に重要な要素となっている。」

 Bニューヨークにあるウインストン財団研究所の主任精神科医エドウィン・ゴアリバル博士の語調はきっぱりしたも
のだ。「連邦政府がカルト教団を取り締まるよう、社会は要求すべきである。彼らは憲法を盾に“信仰の自由”という
隠れ蓑を使っているのだ。こういったカルト教団は“宗教”と言えるものではなく、社会に対する影響は、肉体に広がっ
て行く急性癌のようなものだ。カルトの教化とその帰属意識によって、強度のノイローゼといった明確な心理学的異
変が起こり、成熟は止まり決断力が鈍らされている。洗脳を受けたカルトのメンバーは、決して完全な形で一般社会
に復帰することができない。精神の一部が“死に絶えた”ままなのだ。」


 このようにカルト宗教を信仰の自由を理由として、活動させることは、人類の奴隷化につながるもので、社会によっ
てマイナスと考える。
 したがって、フランスをはじめ、ヨーロッパ諸国で検討されているカルト宗教対策法案を日本においても制定に向け
て声を上げるべきと思う。少なくとも、生活の基盤を失う行為、たとえば、田畑や不動産の寄付や多額の寄付を制限
する権限を館長に与えること。さらにすすんで、カルト宗教に指定されるなら、信者からの多額の寄付を禁じたり、免
税特権の剥奪などを検討すべきだ。特に宗教法人法二十五条三項で財産目録などの閲覧請求権は重要であり、今
後宗教法人への課税の布石として見守って行くべきである。
 これと並行して、カルト宗教による被害者の声を集約することで、世論への警告を発信すべきである。


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